通信費と運賃の区分

自社の商品などを顧客に発送する費用について、「通信費」にするか「運賃」にするかを相談されることがあります。 会社によっては、郵便(切手)で送るものは通信費、小包や宅配便で送るものは運賃と分けている場合がありますし、比較的に少額のものを通信費として扱っている場合もあります。また、商品を送る場合は必ず運賃(荷造運賃)にしているところもあります。 結論をいえば、販売のために自社の商品を顧客に送るという目的においてはどちらでも構いません。通信費も運賃も当期の費用(損金)として処理できる科目のため、どちらで処理しても税務上の違いは無いのです。 ただ、経理においては、取引が明確に区分されていることが重要ですし、後で細かい利益計算などをする場合に、商品発送費とそれ以外を区分する必要が出てくることがあります。また同様の費用が異なる科目に区分されていると、税務署から疑いの目を向けられる可能性が多少ながらあります。 そういった意味では、商品の発送費は運賃(荷造運賃)と統一しておいたほうが良いかもしれません。 なお、広い意味で運賃(運送費、配送費、通信費など)を捉えた場合、必ずしも当期の費用(損金)として処理できるわけではないので注意が必要です。 たとえば、固定資産(機械装置や備品類など)の購入にあたって生じた運送費については、原則として固定資産の取得価額に算入し、減価償却をする必要があります。また、棚卸資産(仕入品や材料など)の仕入れにあたって生じた運送費については、棚卸資産の購入原価(主として仕入勘定)に算入されます。  棚卸資産を事業所間で移動する時にも注意が必要です。完成した商品を事業所(工場など)から事業所(営業所など)に送る場合は、販売費として当期の損金にできます。しかし、未完成の商品(仕掛品)を完成品とするために別の工場に送るための運送費は、製造経費として製造原価に算入することになります。(2007年12月掲載)

消費税(法人)の実地調査件数が昨年に引き続き増加

国税庁が公表した「平成18事務年度における法人税の課税事績」によると、今年の6月までの1年間(平成18事務年度)に実施された消費税(法人)の実地調査が、前年に比べて3.3%増加し13万9千件となっています。 これは、前年比で20.7%も増えた前年(平成17事務年度)に引き続いての増加ということになります。 この傾向は、先日公表された消費税(個人)ではさらに顕著で、平成18事務年度の調査等の件数9万6443件は前年比で33.3%増となり、同117.3%増えた平成17事務年度に引き続いての増加になります。 パーセントでいうと実感がないかもしれませんが、前々年に比べると9万4千件、前年に比べても2万8千件、調査数が増えているのです。 平成17事務年度に消費税の調査件数が増えているのは、平成15年度税制改正で消費税の免税点や簡易課税の適用上限が引下げられ、消費税課税業者や原則課税事業者が大幅に増えたことが主要因です。また、消費税は担税者(消費者)と納税者(事業者)が異なるため税の滞納がおきやすく、それが社会問題となっていることも一要因になっているようです。 さらに、消費税の税務調査は赤字企業でも対象になります。特に継続的に赤字であるような企業の場合、法人税や所得税があまり発生しないため、納税に対する意識が低い場合があります。 しかし、たとえ赤字企業でも、受取った消費税より支払った消費税の方が多いなどというケースは滅多にありません。免税事業者や休眠会社でないかぎり、ほぼ消費税の納税が発生するのです。そして、前述の税制改正で新たに課税事業者になったところには、このような企業が少なくありません。 消費税の調査は帳簿を中心に行われます。特に法人税や所得税では問題にならない、取引ごとの消費税の課否判定が問題にされることが多いため、日々の取引記録が一層重要になります。(2007年11月掲載)

税源移譲で住宅ローン控除額が減少した人の年末調整

国税庁が「税源移譲の実施に伴う給与所得の源泉徴収票の摘要欄の記載について」情報を公開しています。 平成18年度税制改正では、所得税(国税)から住民税(地方税)への税源移譲が行われました。その結果、今年からほとんどの人の所得税額が減り、住民税額が増えています。 ここで問題になるのが、いわゆる住宅ローン減税(住宅借入金等特別控除)の取り扱いです。同控除においては、上限額が所得税額と定められているため、所得税額の減少はそのまま控除上限額の減少となります。控除額(ローン残高の1%)が所得税額を超えるような人の場合、国や地方に払う税額は同じなのに、控除できる額が減少するということになってしまいます。 そこで、平成18年度税制改正では、平成11年1月1日から平成18年12月31日までに入居した人に限り、所得税額が減ったことにより控除額が減少した場合、その減少額を住民税額から控除できるという措置がとられています。今回の国税庁の情報は、年末調整において同措置を受けるための事務処理についてのものです。 具体的には、年末調整を行う際に、「給与所得の源泉徴収票」の摘要欄に「住宅借入金等特別控除可能額」および「居住開始日」を記載することになります。なお、「住宅借入金等特別控除可能額」は、「給与所得・退職所得に対する所得税額源泉徴収簿」の「住宅借入金等特別控除額」の欄を転記します。 たとえば、算出した所得税額が25万円で、控除額が30万円だった場合、「住宅借入金等特別控除可能額:300,000円」「居住開始日:平成○年○月○日」と記載します。注意しなければならないのは、「住宅借入金等特別控除可能額」に記載するのは算出所得税額と控除額との差額(上の例では30万円-25万円=5万円)ではないこと、控除額が減少しない場合は「住宅借入金等特別控除可能額」を記載する必要が無いことです。また、「居住開始日」も忘れずに記載しましょう。(2007年11月掲載)

ホームページ制作費用の税務上の取扱い

近年,インターネットによる情報提供や売買取引が一般化し,事業を行なう場合「自社ホームページ」を開設するケースが一般的となっています。しかし一口にホームページといっても,最近は様々な機能が付加されているため,その制作に要した費用の税務上の取扱いは,複雑化しているのが現状です。ホームページは,そもそも企業や商品のPRのために作成されるものであり,頻繁に更新されるものであるため,その制作に要した費用は税務上,原則として広告宣伝費に該当し,支出時の損金に算入されます。ただし,制作したホームページの使用期間が1年以上に及ぶ場合には,繰延資産として使用期間で均等償却することになります。一方,オンラインショッピング機能,自社製品の検索機能などのプログラム部分は,税務上,ソフトウエアに該当します。その取得に要した費用は無形固定資産として耐用年数5年で定額法により償却することとなります。なお,広告宣伝費とソフトウエア,それぞれの費用が区分できない場合には,全体をソフトウエアとして計上する必要があるので注意が必要です。ホームページ上のソフトウエアとは,一般に,コンピューターに組み込まれたプログラムなどをいいます。 プログラム言語の種類に関係なく,サーバーを介してデータベース等との情報のやりとりをするようなものがソフトウエアに含まれるものと考えられ,他のネットワークに接続できる機能を有するものや企業内のネットワークと接続できる機能を有するものなどが挙げられます。また,仕様書がある場合には,一般的にソフトウエアに該当するものと考えられます。(2007年11月掲載)

出張旅費を支払う場合の注意点

役員や社員が出張した場合、その出張経費(出張旅費、宿泊費、日当等)については、実費を計算して精算するケース、定められた出張旅費規程に応じて支払うケース、出張旅費規程は無いが慣習や上司決済等によって都度支払われるケースなどがあります。 所得税法(9-4)によると、「給与所得を有する者が勤務する場所を離れてその職務を遂行するため旅行をした場合」などについて、「その旅行に必要な支出に充てるため支給される金品で、その旅行について通常必要であると認められるもの」には所得税を課さないとあります。 これを逆に言うと、「その旅行について通常必要であると認められる」金額を超えた分については所得税を課すということで、その超えた額については、社員の出張旅費であれば給与、役員の出張旅費であれば役員給与として扱われることになります。なお、役員給与と認定された場合は会社の損金にも計上できません。 これは、消費税も同じで、消費税法基本通達(11-2-1)によると、「事業者がその使用人等又はその退職者等に支給する出張旅費、宿泊費、日当等のうち、その旅行について通常必要であると認められる部分の金額は、課税仕入れに係る支払対価に該当する」とされています。つまり、通常必要である額を超えた分については、消費税の仕入れ税額控除ができないことになります。(簡易課税を選択している場合は関係ありません) 問題は、この「通常必要と認められる額」の判定です。これについて所得税法基本通達(9-3)では、「その旅行の目的、目的地、行路若しくは期間の長短、宿泊の要否、旅行者の職務内容及び地位等からみて、その旅行に通常必要とされる費用の支出に充てられると認められる範囲内の金品」とされています。また、前述の消費税法基本通達(11-2-1)では、「役員及び使用人のすべてを通じて適正なバランスが保たれている基準によって計算されたもの」もしくは「同業種、同規模の他の使用者等が一般的に支給している金額に照らして相当と認められるもの」であるかどうかを勘案して判定することになっています。 出張旅費が領収書等をもとに適正な実費で支払われている場合、または適正な出張旅費規程がある場合ではほとんど問題は生じないでしょう。しかし、出張旅費規程がいい加減だったり、出張旅費規程が無く慣習や上司決済等によって都度支払われる場合などは、税務調査の際に問題になることがあります。また、出張先で「ちょっと一杯」などの費用やお土産代についても、当然、出張旅費とは認められませんのでご注意ください。(2007年10月掲載)